調べてみると、有望な方法が有りました。メカニカルアロイングです。どんな方法かと言うと、

#混ぜ合わせる各元素の微粉を、硬い金属球と一緒にドラム状の容器に入れて良くかき混ぜる。

メカニカルアロイング装置概念図(出典:JUTEM)

と言うものです。はぁ?そんなんでどうして出来るの?と言う声が聞こえて来そうですが、もう少し詳しく書くと、混ぜ合わせる微粉の造り方にミソがあります。ガスアトマイズと呼ばれる方法で、溶かした金属を高真空中で不活性ガス(アルゴンやヘリウム)で噴射して急冷凝固させて粉を作るやり方です。上手くやるとその時点で既に20nm以下に出来る様なので、後は混ぜるだけ。メカニカルアロイング中にも一緒に入れた金属球とぶつかる影響で更に結晶粒が小さくなるのでバッチリです。でも、出来たのはただの粉で、どうやって500mm厚の装甲に成形するのか?

これまた調べて見ると有りました!放電プラズマ焼結法!

この方法を使えば、粒子表面のみの自己発熱による急速昇温が可能なため、出発原料の粒成長を抑制することができ、 短時間で緻密な焼結体を得ることができます。また、圧粉体内部の組織が変化するのを阻止できるため、 アモルファス構造やナノ結晶組織をもつ粉末をそのままの状態でバルク化が可能です。

しかも、日本で生まれ育った純国産技術との事!素晴らしい!けど、現時点では最大で直径300mm x 厚み10mm程度の部品までの様です。しかし、4.5GPaもの強度を持った金属材料を複雑な形状に加工するのは至難の業ですので、予め造りたい形状の型に粉末を充填して焼結させるのが理想的だと思います。

 また、装甲厚ですが、500mm全てをこのチタン合金にするのではなく、耐衝撃吸収性や様々な要素を考慮して、炭素繊維や衝撃吸収性の高い素材との複合装甲になると思います。その点についてはまた勉強してから書きたいと思います。

チタン合金製のガンダム装甲部品をチタン合金で製造出来る目処がなんとかたちました。決して夢物語ではなく、現存する技術の延長線上で出来そうです。今後、実現させるための問題点は以下かと思います。

1.均質なナノ結晶粒度のチタン合金粉末製造
2.放電プラズマ焼結装置の大型化

そして、より材料欠陥を小さくするには、やはり高真空、低重力(出来れば無重力)が望ましいと思うので、月面かルナツーの様な小惑星上にプラントを建設して製造するのが理想では?と思います。そんな時代はいつ来るのでしょうか?筆者が生きている間では無理そうですが。