航空機エンジン材料開発

ゴルフクラブ材料の開発が下火になった後、また航空機材料の開発に戻りました。ただし今度は民間機のエンジン材料開発でしたが。民間機(旅客機)エンジンとしてはV2500というベストセラーエンジン(欧州のエアバス社製中型機A320系(客席通路が1本の”Single aisle”機体)に主に搭載)があり、国際共同開発(ジェットエンジンの開発には莫大な費用が掛かるため、多国籍の企業間で実施するケースもある)のエンジンで、日本では石川島播磨重工(現在のIHI)、川崎重工業が主に担当しており、エンドユーザーとしてその二社向けにチタン合金素材を製造していました。(現時点では、ほぼその役目を終え、新型の高燃費エンジンに変わりつつありますが)。ただ、エンジン一機種だけではチタン合金の製造量も大したことは無く、事業拡大の為にはメジャーなエンジンメーカーの認定を取得すべきと、米国のGE-Aviation(ジェネラル・エレクトリック社のエンジン製造部門)の認定を取得しよう!という事になりました。GE製CF34というリージョナルジェット用の小型エンジンで、そのファンブレード(エンジンを真正面から見た時に見える羽根車の羽)用チタン合金の認定取得を目指す事になりました。米国オハイオ州シンシナティにGE-Aviationはあるのですが、当初商社や上司と複数名で行っていましたが、開発が難航し状況が難しくなってくると一人で行って解決してこい!と言われる様になり、大変苦労した想い出があります。

シンシナティ ヒルトン
Hilton Cincinnati Netherland Plaza

あまり英語が上手い訳では無く、商社に頼りきりだったものが、タクシーを呼ぶ電話から自分で掛けなければならなくなり、全然通じず途方に暮れたのを良く覚えています。しかし、人間仕事でなんとかしなければならないと思えばなんとかなるもので(日本にいる時も、毎日英語を聞いて練習していましたが)、通い始めて3ヶ月ぐらいでかなり慣れてきて、当時経由地にしていたシカゴオヘア空港のヒルトンホテルでチェックインする時の説明がちんぷんかんぷんだったのが、ある時霧が晴れる様に聴き取れ、あぁ、こう言っていたのか! と理解出来た時はとても嬉しかったのを覚えています。

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